UBS の社内 AI アシスタント「Red」|約 10 万人に展開、社内ナレッジ検索と要約・翻訳を一本化(同社公式サイト)【AI活用事例】

公開: 2026-11-06

UBS金融(銀行・ウェルスマネジメント)社内ナレッジ検索・業務効率化(社内 AI アシスタントの全社展開)海外大手Red(UBS の社内 AI アシスタント・自社開発)UBS の公式資料(CIO リサーチ、業務手順・商品情報、ファクトシート)生成 AI による要約・下書き・翻訳(基盤モデル・提供元は公式サイトに記載なし)

この事例でわかること

  • UBS は社内 AI アシスタント「Red」を自社開発し、CIO リサーチ・業務手順や商品情報・ファクトシートなどの公式資料と、要約・下書き・翻訳の機能を一か所にまとめたと公式サイトで説明
  • 展開規模は約 10 万人、開始以来の問い合わせは 2,500 万件超(同社公式サイト)。利用率・開始時期・基盤モデルは記載なし
  • 「週平均 80 分の節約」は利用者フィードバックに基づく値。10 万人と掛け合わせた全社の削減時間は同社が示した数値ではない
  • 設計の要点は、AI に「何でも答えさせる」のではなく、参照先を公式資料に絞って社内の情報探しを短くすること(Links-Create の読み解き)
  • 自社で学べる型は 3 つ: 参照してよい資料を決める/効果を申告値と実測値に分けて測る/展開人数と利用人数を分けて報告する(演習は Links-Create の研修用提案)

主な指標(一次ソース確認済み)

Red の展開規模
約 10 万人(around 100,000 employees)

UBS 公式サイト「Innovation and AI at UBS」の記載("rolled out to around 100,000 employees")に基づく。展開した(使える状態にした)人数であり、日常的に使っている人数・利用率は記載がない。展開の開始時期・段階・対象部門の内訳も同ページには記載がない。

開始以来の問い合わせ件数
2,500 万件超(more than 25 million queries)

同ページの「has supported more than 25 million queries since launch」に基づく累計値。開始時期が書かれていないため、月あたり・1 人あたりの件数には換算できない。回答の正確さ・解決率は記載がない。

利用者 1 人あたりの節約時間
週平均 80 分(利用者フィードバックに基づく)

同ページは「Based on user feedback」と前置きして週平均 80 分の節約としている。利用者の申告に基づく値で、調査の方法・回答者数・測定期間は記載がない。展開人数(約 10 万人)と掛け合わせた「全社で週◯万時間の削減」は、同社が示した数値ではなく、本記事でも計算しない。

AI 研修の修了者数(参考)
61,000 人(2026 年 10 月時点)

同ページの「61,000 employees Completed AI Citizen Learning Journeys (as of Oct 2026)」に基づく。Red の利用者数ではなく、社員向け AI 学習プログラムの修了者数。Red の効果との因果関係は示されていない。

一次ソース: https://www.ubs.com/global/en/our-firm/what-we-do/technology/innovation-and-ai.html (公開: 2026-11-06)

要約

スイスの金融グループ UBS は、社内 AI アシスタント「Red」を自社開発し、社員が社内の信頼できる情報にすばやくたどり着けるようにしたと、公式サイトのページ「Innovation and AI at UBS」で説明しています。Red は 約 10 万人に展開され、開始以来 2,500 万件超の問い合わせを支えたとされます。

この事例から学べるのは、AI の賢さではなく、銀行の社内ナレッジを AI にどう参照させ、効果をどう測るかです。公式情報から読み取れるポイントは次の 3 つです。

  • 参照先を公式資料に絞る: CIO リサーチ、業務手順・商品情報、ファクトシートといった UBS の公式資料と、要約・下書き・翻訳の機能を一か所にまとめた
  • 規模は大きいが、利用率は書かれていない: 約 10 万人は「展開した人数」。日常的な利用者数や開始時期は記載がない
  • 効果は利用者の申告に基づく: 「週平均 80 分の節約」は利用者フィードバックに基づく値で、全社の実測削減時間ではない

本記事は UBS 公式サイト「Innovation and AI at UBS」(2026-11-06 確認)を一次ソースに、事実の整理と Links-Create の分析・研修用の演習を分けて解説します。演習の例は研修用の提案であり、UBS が実施した事実ではありません。

何が公表されているか(公式情報ベース)

発表主体は UBS 自身であり、数値も同社の公表値です。第三者による検証結果ではない点を前提に読んでください。

Red の概要

項目内容(公式サイトの記載を要約)
位置づけUBS の社内(in-house)AI アシスタント
目的社員が社内の信頼できる知識にすばやくアクセスし、知識を多く使う業務を効率よく進められるようにする
参照する資料UBS の公式資料。例として CIO リサーチ、業務手順・商品情報、ファクトシート
主な機能情報の検索、要約、下書き、翻訳
展開規模約 10 万人の社員に展開
利用実績開始以来 2,500 万件超の問い合わせを支えた
効果利用者フィードバックに基づき、週平均 80 分の節約

公式サイトは、Red によって、ばらばらの情報源を探し回る時間が減り、業務をより速く、より一貫して進められるようになると説明しています。節約した時間は、顧客との対話や、顧客ごとのニーズへの対応に充てられるとしています。

効果の数値の根拠(直接引用)

週平均 80 分という数値について、公式サイトは次のように書いています。

"Based on user feedback, Red saves employees an average of 80 minutes per week, freeing up time for more meaningful client interactions and deeper engagement with clients' individual needs." — 出典: UBS「Innovation and AI at UBS」(2026-11-06 確認)

冒頭の「Based on user feedback(利用者フィードバックに基づき)」が、この数値を読むうえで最も大切な部分です。

同じページにある、ほかの AI の取り組み(参考)

同じページには、Red 以外の社内 AI の数値も並んでいます。Red と混同しないよう、区別して示します。

取り組み公式サイトの記載(要約)Red との関係
社内規程の AI アシスタント(MyPolicies)28 万 8,000 件超の会話。1 会話あたり平均 10 分の節約を前提に、開始以来約 4 万 8,000 時間の節約と算出別のアシスタント
社員向け AI 学習プログラム61,000 人が修了(2026 年 10 月時点)研修の修了者数で、Red の利用者数ではない

MyPolicies の時間は「1 会話あたり平均 10 分」という前提を置いて計算した値であり、Red の 80 分は利用者の申告に基づく値です。同じページの中でも、時間の出し方が異なる点に注意してください。

公式サイトで開示されていない情報(推論で書かない)

確認した範囲で、次の情報は記載がありません。

  • Red の提供開始時期と、展開の段階・対象部門
  • 基盤となる AI モデルの名前・提供元、検索の方式(RAG 構成など)
  • 実際に毎週使っている人数(利用率)
  • 週平均 80 分の調査方法・回答者数・測定期間
  • 回答の正確さ・誤答の扱い・人による確認の手順
  • 導入・運用にかかった費用

これらは公式情報がないため、本記事でも記載しません。候補の発見元となった McKinsey の論考(2026-10-30)は二次資料であり、その日付は Red の導入日ではありません。

設計の読み解き(Links-Create による解説)

ここからは、公開情報から読み取れる設計上のポイントを Links-Create の視点で解説します。以下は独自分析であり、UBS の公式見解ではありません。

1. 「何でも答える AI」ではなく「公式資料を探す AI」として位置づけている

公式サイトの説明は、Red が「信頼できる社内の知識」に社員を案内することを中心にしています。参照先として挙げられているのは、CIO リサーチ、業務手順・商品情報、ファクトシートといった、UBS が正式に作成・管理している資料です。

銀行では、顧客に伝える内容が社内の正式な資料と食い違うと、説明の誤りにつながります。AI の答えの元を正式な資料に寄せておくことは、「速く探せる」と同時に「どの資料に基づく答えか」を説明できる状態を作る設計だと読めます。

2. 検索と、要約・下書き・翻訳を同じ場所に置いている

公式サイトは、資料の検索と、要約・下書き・翻訳を一か所にまとめた点を強調しています。社内の情報探しは、探す → 読む → 自分の言葉にまとめる → 別の言語に直す、と複数の作業に分かれがちです。これを 1 つの窓口で続けて行えることが、時間の節約につながると説明されていると Links-Create は読んでいます。

作業の段階Red で扱う機能(公式の記載)社内でよくある従来の手間(一般論)
探す公式資料の検索複数のフォルダ・ポータルを行き来する
読む・まとめる要約長い資料を自分で読み込む
書く下書きゼロから文章を作る
伝える翻訳別の担当や外部サービスに依頼する

右列は一般的な業務の例であり、UBS の従来業務を説明したものではありません。

3. 「展開人数」「件数」「節約時間」は、別々の意味を持つ数字

公式サイトの 3 つの数字は、それぞれ別のものを測っています。

数字何を表すか何を表さないか
約 10 万人使える状態にした人数毎週使っている人数
2,500 万件超開始以来の問い合わせの累計回答の正しさ、問題の解決
週平均 80 分利用者が申告した節約時間の平均業務ログでの実測、全社の合計

3 つを掛け合わせたり足したりして「全社で◯万時間」と言い換えると、同社が示していない数字を作ることになります。

4. 効果を「申告値」と「計算値」に分けて書いている点が参考になる

同じページの中で、Red の時間は利用者フィードバック、MyPolicies の時間は「1 会話あたり 10 分」という前提を置いた計算と、出し方を書き分けています。社内で AI の効果を報告するときも、「誰が・どう測った数字か」を一緒に書く習慣は、そのまま取り入れられます。

5. 既存の事例との違い

事例論点本事例との違い
野村総合研究所の業界特化型 LLM金融業務に特化したモデルの精度を高め、社内で広く使うモデル自体の精度が論点。本事例は、参照する社内資料と効果の測り方が論点
ネットワンシステムズ「NetOne Claw」社内 AI エージェントの権限と LLM 利用料の設計操作の権限が論点。本事例は、情報を探す・まとめる支援が中心

自社に置き換える演習(Links-Create の研修用の提案)

以下の演習と表の例は、Links-Create が研修用に提案するものです。UBS が実施した手順や事実ではありません。 表の「例」は考え方を示す架空の例なので、自社の業務に置き換えて記入してください。

演習 1: AI に参照させてよい資料の一覧をつくる

区分判断の目安例(研修用の例)
参照してよい正式に承認され、最新版が管理されている社内規程、商品説明書、業務手順書
条件付き内容は正しいが、版の管理があいまい部署ごとの FAQ、過去の研修資料
参照させない個人のメモ、古い版、顧客の個人情報下書きフォルダ、旧版の規程

「どの資料が正式か」が決まっていないと、AI の答えがどれだけ速くても、根拠の説明ができません。

演習 2: 効果を「申告」と「実測」の 2 本で測る

指標測り方の例注意点
申告による節約時間月 1 回の短いアンケート回答者数と質問文を記録しておく
実測による変化問い合わせ窓口の件数、資料検索にかかった時間のサンプル計測導入前の値を先に取っておく
回答の質抜き取りで回答を人が確認し、誤答を記録件数だけで評価しない

演習 3: 報告用の数字を 3 つに分けて書く

社内報告では、「展開人数」「実際の利用人数」「効果(測り方つき)」を別の行に書きます。たとえば「展開 500 人、直近 4 週で 1 回以上使った人 320 人、利用者アンケート(回答 120 人)で週平均 40 分の節約」のように書けば、数字の意味が取り違えられません(数値は架空の例)。

法人 AI 研修への示唆(Links-Create の視点)

  1. 「参照してよい資料」を決める研修から始める — AI の操作方法より先に、正式な資料の一覧づくりを部門ごとに行う
  2. 効果は測り方とセットで報告する — 申告値と実測値を分け、掛け算で大きな数字を作らない
  3. 金融では「根拠を示せる答え」を重視する — 速さだけでなく、どの資料に基づく答えかを確認する習慣を研修で身につける

関連リソース

出典・引用ポリシー

本記事の事実情報は、次の公式情報のみを一次ソースとしています。

設計の読み解き・演習・研修への示唆は Links-Create の独自分析・研修用の提案であり、UBS の公式見解ではなく、同社が実施した事実でもありません。

定量値は公式情報の限定(展開人数であって利用人数ではない・開始以来の累計・利用者フィードバックに基づく)を維持し、成果保証としては記述していません。展開人数と節約時間を掛け合わせた全社の削減時間は、同社が示していないため記載していません。社内提案で引用する際は、前提条件を必ず併記してください。

公式情報の更新があれば、本記事も追従して更新します。

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