ネットワンシステムズが社内 AI エージェント「NetOne Claw」を全社展開|権限を限定する設計と、試用で LLM 利用料を約 80% 低減(同社発表)【AI活用事例】

公開: 2026-10-02

ネットワンシステムズIT インフラ/ICT サービス社内業務支援(個人向け AI エージェントの全社展開)/権限制御と LLM 利用料の低減設計大手NetOne Claw(自社開発の個人向け AI エージェント)Databricks Data + AI プラットフォームDatabricks Unity Gateway(統合 AI ガバナンス機能)

この事例でわかること

  • ネットワンシステムズが、社内用の個人向け AI エージェント「NetOne Claw」を独自開発し、2026 年 8 月に全社展開を開始(公式発表 2026-09-14)。会議準備・日報/週報の作成・社内情報の横断検索などを支援
  • 権限は、管理者によるデータ範囲・連携先の制御、実行不可の操作(パスワード・API キーの取得、メール送信(会議予約を除く)、ソフトウェアのインストール、ファイルの書込・削除)、限定許可(指定フォルダ内のみ、メールは件名と送信者のみ)の 3 つで限定
  • LLM 利用料は、安価なモデルの使い分け・応答キャッシュや形態素解析・LLM を通さないスラッシュコマンドの 3 つの取り組みで、全社展開前の 1 か月試用において約 80% 低減したと同社が発表。比較条件の詳細は非公表
  • 「約 80%」は LLM サービスの利用料に関する自社発表値。総導入費・人件費・業務時間の削減率ではなく、比較構成・人数・処理件数・実額・品質評価は公開されていない
  • 自社に置き換えて学べる型は 3 つ: AI が必要な判断と定型処理を分ける/参照できる資料・承認が必要な操作・禁止操作を分ける/品質・確認時間・利用料を併せて評価する(演習は Links-Create の研修用提案)

主な指標(一次ソース確認済み)

全社展開前の 1 か月試用での LLM 利用料の低減
約 80% 低減(同社発表)

ネットワンシステムズ公式プレスリリース(2026-09-14)の「LLM サービスの利用料低減の取り組み」に基づく。安価なモデルの選択・応答キャッシュや形態素解析・スラッシュコマンドという 3 つの取り組みによる効果としてまとめて記載され、取り組みごとの内訳は非公表。対象は LLM サービスの利用料であり、総導入費・人件費・業務時間の削減率ではない。比較構成(何と比べたか)・試用人数・処理件数・実額・回答品質の評価結果は非公表で、同社自身による発表値。全社展開後の実績ではなく、全社展開前の 1 か月間の試用での値である。

全社展開の開始時期
2026 年 8 月に開始

公式プレスリリース(2026-09-14)に「本年 8 月に全社展開を開始」と記載。対象社員数・利用率・利用頻度は非公表。「全社展開」は展開を始めた事実であり、全社員が日常的に使っていることを示す数値ではない。機能は社員の要望に応じて継続的に拡充されるとされている。

AI エージェントに許可しない操作
4 区分を実行不可

公式プレスリリースの「実行不可」の記載に基づく: 各種パスワードや API キーの取得、メール送信(会議予約を除く)、ソフトウェアのインストール、ファイルの書込・削除。ただし週報・日報の自動作成には「追加設定で上司に自動メール送信も可能」との記載があり、両者の関係は公式発表内で説明されていない。メール送信の可否を一律に断定しないこと。

メール・ファイルの取得範囲
指定フォルダ内のみ/メールは件名と送信者のみ

公式プレスリリースの「限定許可」の記載に基づく。メールや PC 内ファイルの取得は各社員が指定したフォルダ内のみ許可され、メールは件名と送信者のみ取得して本文は取得不可。会議準備や週報作成で、メールをどの範囲まで材料にしているかの詳細は非公表。

一次ソース: https://www.netone.co.jp/news/release/20260914_01.html (公開: 2026-09-14)

要約

ネットワンシステムズ株式会社が、社内用の個人向け AI エージェント「NetOne Claw」を独自開発し、2026 年 8 月に全社展開を開始しました(公式発表 2026-09-14)。会議準備・日報/週報の作成・社内情報の横断検索などを、チャットアプリを窓口に、各社員の PC 上で支援します。

この事例から学べるのは AI の賢さではなく、社内 AI の権限と利用コストをどう設計するかです。公式発表から読み取れるポイントは次の 3 つです。

  • 権限を限定する: 管理者によるデータ範囲の制御、実行不可の操作(メール送信(会議予約を除く)など)、指定フォルダ内に限った取得
  • LLM 利用料を下げる工夫を重ねる: 安価なモデルの使い分け、応答キャッシュ、LLM を経由しないスラッシュコマンド
  • 成果は自社発表の限定的な数値: 全社展開前の 1 か月試用で、LLM 利用料を約 80% 低減したと同社が発表。比較条件の詳細は非公表

本記事は 公式プレスリリース(2026-09-14)を一次ソースに、事実の整理と Links-Create の分析・研修用の演習を分けて解説します。演習の例は研修用の提案であり、ネットワンシステムズが実施した事実ではありません。

何が発表されたか(公式情報ベース)

発表主体はネットワンシステムズ自身であり、成果の数値も同社による発表値です。この点を前提に読んでください。

NetOne Claw の概要

項目内容
位置づけ社内用のセキュアな個人向け AI エージェント。既存製品の導入ではなく独自開発(発表 2026-09-14)
コンセプト「社員に寄り添う AI」。業務の遂行より、状況を把握して伴走型で支援することを重視
全社展開2026 年 8 月に開始。社員の要望に応じて機能を拡充
利用形態・連携先チャットアプリが窓口で、各社員の PC にインストール。メール・予定表・チャット・Web 会議・クラウドストレージ・社内ポータル等と、PC 内のファイルに連携
基盤Databricks の Data + AI プラットフォーム、統合 AI ガバナンス機能「Unity Gateway」
回答精度社員・組織・業務の「文脈」を与えるオントロジーの構築機能(全社への拡大は将来の目標)

独自開発の背景として、公式発表は、一般に AI エージェントは企業利用では権限や通信先の制限が必要など、セキュリティ上の留意点が多いことを課題に挙げ、自社利用にセキュリティを最適化した AI エージェントを開発・導入したと説明しています。

現在可能な業務支援の例(公式の列挙 9 件)

公式発表は 9 件の業務支援の例を挙げています。本記事では 3 つに分けて整理します(現時点で可能なことの例示であり、全機能の網羅ではありません)。

  • 知らせる(4 件): 当日の予定、会議前の出席者と要確認事項、返信が滞っている重要メール、関心に合う社内ポータルの周知情報を、必要なタイミングで通知する
  • 調べる・答える(2 件): メール・チャット・ストレージ・社内ポータル・PC 内ファイルを横断して検索し、プロジェクトの状況や次のアクションの質問に答える
  • 作る・整える(3 件): 日程候補の提示と予定表への反映、新規業務のヒアリング項目・作業一覧・スケジュールの生成と予定表への登録、週報・日報の自動作成(追加設定で上司への自動メール送信も可能)

権限の限定(公式の「セキュリティ対策」)

公式発表は、「業務効率向上とセキュリティを両立する水準で AI エージェントの権限を限定する」対策として、次の 3 つを挙げています。

区分公式の記載(要約)
権限の制御管理者が、使えるデータの範囲と連携先を制御する。社内システムへは、シングルサインオンにより各社員自身の権限の範囲でアクセスする
実行不可パスワード・API キーの取得、メール送信(会議予約を除く)、ソフトウェアのインストール、ファイルの書込・削除は行わない
限定許可取得できるのは、各社員が指定したフォルダ内のメールと PC 内ファイルだけ。メールは件名と送信者のみで、本文は取得しない

LLM 利用料の低減(公式の「取り組み」)

公式発表は、AI エージェント運用の大きなコスト要因として LLM サービスの利用料を挙げ、次の 3 つの取り組みを示しています。全社展開に先立つ 1 か月間の試用では、これらの取り組みによって約 80% のコスト低減効果があったとされています。

  1. 回答品質を保てる範囲で、場面に応じてより安価な LLM モデルを使い分ける
  2. 応答キャッシュや形態素解析(文章を単語など意味の単位に分ける処理)で、LLM に任せる処理量を減らす
  3. スラッシュコマンドで、LLM を経由せずに処理を完結させる

Databricks の「Unity Gateway」は、AI エージェントのあらゆる動作の可視化と、場面に応じた複数 LLM モデルの切替によるコスト最適化に使われているとされます。データブリックス・ジャパン代表取締役社長の笹 俊文氏は、公式発表内のエンドースメントで次のように述べています。

「日本の企業各社はAIエージェントの導入に強い意欲を示していますが、セキュリティとコストへの懸念から、多くの企業がパイロット段階を超えられずにいます。」 — 出典: ネットワンシステムズ公式プレスリリース(2026-09-14、データブリックス・ジャパンのエンドースメント)

これは基盤を提供する Databricks 側の立場からの発言であり、第三者による検証結果ではありません。

公式発表で開示されていない情報(推論で書かない)

HTML 版・PDF 版の両方を確認した範囲で、次の情報は記載がありません。

  • 約 80% の比較対象(何と比べたか)と比較時の構成
  • 試用の参加人数、処理件数、利用料の実額
  • 3 つの取り組みそれぞれの寄与(内訳)
  • 回答品質の評価方法と、安価なモデルへの切替で品質が維持されたことの確認方法
  • 使用している LLM モデルの種類と切替の基準
  • 全社展開後の利用者数・利用率・コスト推移
  • 総導入費・人件費・業務時間への影響
  • 「メール送信(会議予約を除く)」の例外と、週報・日報の「追加設定で上司に自動メール送信も可能」との関係、送信時の承認方法

これらは公式情報がないため、本記事でも記載しません。

設計の読み解き(Links-Create による解説)

ここからは、公開情報から読み取れる設計上のポイントを Links-Create の視点で解説します。以下は独自分析であり、ネットワンシステムズや Databricks の公式見解ではありません。

1. 「禁止」は一律ではなく、操作ごとに線を引いている

公式の「実行不可」は、AI に何でも禁止するのではなく、操作ごとに線を引いた一覧です。

  • 業務支援の例 9 件のうち、予定表への反映・登録を伴うものが 2 件、追加設定でメール送信が可能とされるものが 1 件ある(Links-Create の数え方)。残りは通知・回答・検索が中心
  • 一方で、パスワードや API キーの取得、ソフトウェアのインストール、ファイルの書込・削除は実行不可
  • 「メール送信(会議予約を除く)」のように、禁止の中の例外も操作単位で書かれている

「書込は禁止」といった粗い区分ではなく、「何を・どこへ」まで分けると、例外が必要になったときにも説明がつきます。

2. 権限は「管理者」「本人」「操作」の 3 つの軸で重ねて読める

公式の 3 区分(権限の制御・実行不可・限定許可)を、「誰が決めるか」で並べ直すと次のようになります。これは Links-Create の解釈です。

軸公式発表の記載設計の意味(解釈)
管理者管理者側で、データの範囲・連携先システムを制御全社共通の外枠(上限)を置く
本人シングルサインオンで本人の権限に準じる。取得は指定フォルダ内のみAI 専用の上位権限を持たせず、本人の権限を超えさせない
操作実行不可の一覧本人に権限があっても、AI にはさせない操作を決める

「本人の権限を超えない」は、「各社員の権限に準じて許可」という記載からの解釈です。

3. データは「必要な粒度」まで落として渡している

メールは件名と送信者のみ取得し、本文は取得しないと公式発表は述べています。一方、重要メールの判定は「送信元と件名」から行うとも記載されています。本文を取らなくても成立する用途を選び、取らないことを権限設計に組み込んでいると読めます。「AI に何を見せるか」は、用途から逆算して最小にする。多くの社内 AI に応用できる考え方です。

4. LLM 利用料の 3 つの取り組みは、「LLM を使う場面を減らす順」に並べ直すと設計の型になる

公式発表の掲載順とは逆に、問いの順番で並べ直すと次の表になります(Links-Create の整理)。

順問い対応する公式の取り組み
1そもそも LLM が必要かスラッシュコマンド(LLM を経由せずにタスクを完了)
2同じ処理を繰り返していないか応答キャッシュ・形態素解析(LLM の処理量を削減)
3LLM が必要なら、どのモデルで足りるか場面に応じた安価なモデルの選択

これは「AI が必要な判断と定型処理を分ける」の実践形です。Databricks の説明では、すべてのモデルとのやり取りをガバナンスしコストを管理するとされています。何にいくら使ったかが見えなければ、どの取り組みが効いたかは検証できません。ただし公式発表は、取り組みごとの内訳を公表していません。

5. 「約 80%」を引用するときの 4 つの注意

  • 対象は LLM サービスの利用料のみ: 総導入費・人件費・業務時間の削減率ではない
  • 期間は全社展開前の 1 か月間の試用: 全社展開後の運用実績ではない
  • 3 つの取り組みの合計効果: 取り組みごとの内訳は非公表
  • 比較条件と検証者: 比較構成・人数・処理件数・実額・品質評価は非公表で、同社自身の発表値

推奨する表現は「全社展開前の 1 か月試用で、LLM 利用料を約 80% 低減したと同社が発表。比較条件の詳細は非公表。」です。また、利用料が下がっても、人が確認・修正する時間が増えれば、全体のコストは下がらないことがあります。利用料の数字だけでは、この点は分かりません。

6. 既存の事例との違い

他の事例と並べると、「AI に何をさせ、何を人に残すか」の設計が事例ごとに異なります。

事例実行と権限の論点本事例との違い
JR 東日本「みどりの窓口」AI 対応AI が要望を整理し、発券は係員が担当(実証実験)利用者向けで実行を人に残す設計。本事例は社内向けで、AI の操作を一覧で限定
NTTドコモの 5G コア構築自動化AI の出力を、レビュー可能な構成ファイルで受ける設計として整理出力を後でレビューする設計。本事例は、触れるデータと操作を先に絞る

自社に置き換える演習(Links-Create の研修用の提案)

以下の演習と表の例は、Links-Create が研修用に提案するものです。ネットワンシステムズが実施した手順や事実ではありません。 表の「例」は考え方を示す架空の例なので、自社の業務に置き換えて記入してください。

演習 1: 処理を「AI の判断が要るもの」と「定型処理」に分ける

業務を 1 つずつ取り上げ、「毎回同じ入力なら同じ出力になるか」を問います。

業務の例(研修用の例)判断・要約・文章化が要るか想定する処理方式
毎朝の予定一覧の表示要らない通常のプログラムや定型コマンド
同じ質問への定型回答要らないキャッシュや定型回答
会議前の論点整理、週報の下書き要るLLM(精度に応じてモデルを選ぶ)

まず「LLM を使わずに済む処理」を洗い出すことが、利用料を下げる最初の一歩です。

演習 2: 「参照できる/承認が必要/禁止」の 3 区分表をつくる

AI に任せる操作を 3 区分に仕分けます。判断軸は「取り消せるか」「社外に出るか」「他人に影響するか」です。

区分考え方例(研修用の例)
参照できる本人が権限を持つ範囲で、用途に必要な最小の粒度まで指定フォルダ内の資料、メールの件名と送信者
承認が必要他人や社外に影響する、または取り消しにくい社外宛のメール送信、他人の予定への書込
禁止業務上の必要より、事故時の影響が大きい認証情報の取得、ソフトウェアのインストール、ファイルの削除

迷ったら「禁止」から始め、運用ログを見ながら段階的に緩めるのがコツです。例外が出たら、「メール送信(会議予約を除く)」のように、操作と条件を明記して文書化します。

演習 3: 品質・確認時間・利用料を、1 か月の試用で併せて測る

総コストは、次のように捉えます(Links-Create の研修用の整理)。

総コスト ≒ LLM 利用料 +(人が確認・修正する時間 × 時間単価)+ 運用の手間

指標測り方の例見るポイント
品質同じ入力サンプルを人が採点し、モデル切替の前後で比較事前に決めた基準を下回ったらモデルを戻す
確認時間1 件あたりの見直し時間を記録利用料が減っても、確認時間が増えていないか
利用料日別・モデル別・LLM 使用有無別に集計どの工夫が効いたか、自社で内訳を出す

ネットワンシステムズが非公表とした「内訳」と「品質評価」を、自社では自分で取ることが狙いです。

法人 AI 研修への示唆(Links-Create の視点)

  1. 「AI に何をさせないか」を先に決める — 研修の最初の演習を、権限の 3 区分表づくりにする。決裁者と現場が同じ表を見て話せる
  2. コストは「利用料」だけで語らない — 利用料・確認時間・品質の 3 点セットで評価する習慣をつける
  3. 例外は書いて残す — 「原則禁止・例外あり」の例外を、操作と条件つきで文書化する

関連リソース

出典・引用ポリシー

本記事の事実情報は、次の公式発表のみを一次ソースとしています。

設計の読み解き・演習・研修への示唆は Links-Create の独自分析・研修用の提案であり、ネットワンシステムズおよび Databricks の公式見解ではなく、同社が実施した事実でもありません。

定量値は公式発表の限定(全社展開前の 1 か月試用・LLM 利用料・同社発表・比較条件は非公表)を維持し、成果保証としては記述していません。メール送信については公式発表内に例外を含む記載があるため、送信の可否を断定していません。社内提案で引用する際は、前提条件を必ず併記してください。

公式情報の更新があれば、本記事も追従して更新します。

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