SCSKセキュリティが「AI SOCサービス」でアラートの一次分析を自動化|自社環境の検証で平均 2 分・約 95% を自動クローズ(同社発表)【AI活用事例】

公開: 2026-11-06

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この事例でわかること

  • SCSKセキュリティが、Intezer 社の自律型 AI 分析基盤と自社の SOC 運用ノウハウを組み合わせた「AI SOCサービス」の提供開始を発表(公式発表 2026-10-28)。アラートの一次分析(トリアージ)を AI で自動化するマネージドサービス
  • AI が脅威の正体と影響範囲を判定し、対処不要なものを自動クローズ。エスカレーションが必要な事象は SCSK Security SOC のアナリストが精査して通知・対応支援につなげる
  • 自社環境(アラート約 3 万件/週)の検証で、一次分析を平均 2 分で実施し約 95% を自動クローズしたと同社が発表。注記で「効果を保証するものではない」と明記されている
  • 判定は大規模言語モデルの確率的な推論ではなく、コードDNA解析とメモリのフォレンジックによる「根拠つき」判定と説明され、一致したコードなどの証跡が結果に付く
  • 自社に置き換える学びは「自動で閉じる」ことの設計: 閉じた理由を残す/閉じたものを抜き取りで見直す/検証値と自社の値を分けて測る(演習は Links-Create の研修用提案)

主な指標(一次ソース確認済み)

一次分析にかかる時間(自社環境での検証)
平均 2 分(同社発表)

SCSKセキュリティ公式プレスリリース(2026-10-28)に基づく。注記 ※1 で「自社環境でのアラート数が約 3 万件/週における結果であり、効果を保証するものではありません。実際の効果はお客様環境や監視対象により異なります」と明記されている。顧客環境での導入実績値ではない。検証期間・アラートの種類別の内訳・ばらつき(中央値や最大値)は非公表。

従来の一次分析の所要時間(比較の基準)
1 件あたり平均 1〜2 時間

公式プレスリリースの特長(2)に「従来1件あたり平均1~2時間を要していた一次分析」と記載。この「従来」がどの環境・どの期間・どのアラート群の値なのか、平均 2 分の検証と同じ母集団なのかは公表されていない。両者を割り算して「◯分の 1 に短縮」と書くのは、比較条件が不明なため避ける。

自動クローズされたアラートの割合(自社環境での検証)
約 95%(同社発表)

公式プレスリリース(2026-10-28)の「自社環境での検証では、一次分析を平均2分で実施し、約95%が自動クローズされる結果」に基づく。注記 ※1 の通り約 3 万件/週の自社環境での値で、効果保証ではない。対象は「対処不要と判定されて閉じられたアラートの割合」であり、SOC 業務全体の削減率や人員削減率ではない。誤って閉じたもの(見逃し)の件数・検証方法は非公表。

自動トリアージの対象範囲
重要度によらず全アラート

公式プレスリリースに「検知されたアラートは、重要度によらずAIによる自動トリアージの対象」「重要度が低いと判定されたアラートを含め、すべてのアラートを24時間365日体制で分析」と記載。対象はエンドポイント・サーバ・ネットワーク・クラウド環境などで検知されたアラート。

一次ソース: https://www.scsksecurity.co.jp/press_release_aisoc/ (公開: 2026-10-28)

要約

SCSKセキュリティ株式会社が、AI を活用した SOC サービス「AI SOCサービス」の提供開始を発表しました(公式発表 2026-10-28)。Intezer 社の自律型 AI セキュリティ分析プラットフォームと、SCSKセキュリティの SOC 運用ノウハウを組み合わせ、これまで人手に頼っていたアラートの一次分析(トリアージ)を AI で自動化するマネージドセキュリティサービスです。

この事例から学べるのは、「AI がアラートを速く処理した」ことよりも、AI に「対処不要」と判定させて自動で閉じる仕組みを、どう設計し、どう評価するかです。公式発表から読み取れるポイントは次の 3 つです。

  • 全件を AI が見る: 重要度が低いと判定されたアラートを含め、すべてのアラートを 24 時間 365 日分析の対象にする
  • 根拠つきで判定する: 判定はコードDNA解析とメモリのフォレンジックに基づき、一致したコードやメモリ上の挙動といった証跡が結果に付く
  • 成果は自社環境での検証値: 約 3 万件/週の自社環境で、一次分析は平均 2 分、約 95% が自動クローズ。注記で「効果を保証するものではない」と明記

本記事は 公式プレスリリース(2026-10-28)を一次ソースに、事実の整理と Links-Create の分析・研修用の演習を分けて解説します。演習の例は研修用の提案であり、SCSKセキュリティが実施した事実ではありません。

何が発表されたか(公式情報ベース)

発表主体は SCSKセキュリティ自身であり、数値は同社の自社環境での検証結果です。この点を前提に読んでください。

AI SOCサービスの概要

項目内容
提供形態マネージドセキュリティサービス。SCSK Security SOC が 24 時間 365 日の監視・分析・対応を行う
AI 基盤Intezer 社(2015 年設立、イスラエル発)の自律型 AI セキュリティ分析プラットフォーム
既存基盤との関係SIEM や EDR/XDR など既存の検知基盤を置き換えず、その後段の分析工程を補完する構成
分析対象エンドポイント・サーバ・ネットワーク・クラウド環境などで検知されたアラート。重要度によらず全件
人の役割AI で自動クローズされない事象を、アナリストが分析結果と証跡を踏まえて最終判断し、通知・影響範囲の調査・封じ込め・復旧支援につなげる

処理の流れ(公式発表の説明を整理)

  1. 既存の検知基盤(SIEM・EDR/XDR など)がアラートを出す
  2. AI が、重要度によらず全アラートを自動トリアージし、脅威の正体や影響範囲を判定する
  3. 対処不要と判定したものは自動クローズする
  4. エスカレーションが必要な事象は SCSK Security SOC のアナリストが精査し、顧客への通知や対応支援につなげる

判定の仕組み

公式発表は、判定方法を「大規模言語モデルによる確率的な推論」ではないと説明しています。マルウェアのコードを遺伝子レベルで照合する Intezer 社独自の「コードDNA解析」と、稼働中のメモリまで自動採取・解析するフォレンジック技術で、脅威の正体を根拠とともに判定するとしています。一致したコードやメモリ上の挙動といった証跡が分析結果に付くため、インシデント報告や監査対応にもそのまま使えると説明されています。

Intezer 社の共同創業者兼 CEO、Itai Tevet 氏は公式発表内のコメントで次のように述べています。

「増加し続けるアラートへの対応がセキュリティチームの大きな課題となる中、私たちは、すべてのアラートに対して綿密なトリアージと調査を行うことが重要だと考えています。」 — 出典: SCSKセキュリティ公式プレスリリース(2026-10-28、Intezer 社からのコメント)

これは基盤を提供する Intezer 社の立場からの発言であり、第三者による検証結果ではありません。

公式発表の数値と、その限定

数値公式発表の記載限定
平均 2 分自社環境での検証で、一次分析を平均 2 分で実施自社環境・約 3 万件/週。効果保証ではない
約 95%同じ検証で、約 95% が自動クローズ同上。業務全体の削減率ではない
平均 1〜2 時間従来 1 件あたりに要していた一次分析の時間比較の条件(環境・期間・対象)は非公表

公式発表で開示されていない情報(推論で書かない)

  • 検証の期間と、アラートの種類別の内訳
  • 平均 2 分のばらつき(中央値・最大値)
  • 自動クローズされたアラートのうち、後から誤りと分かったもの(見逃し)の件数と、その確認方法
  • 「従来 1〜2 時間」が、どの環境・期間・アラート群の値か
  • 顧客環境での導入実績・料金・提供条件の詳細
  • アナリストに回った約 5% の処理時間や、アナリストの作業量の変化

これらは公式情報がないため、本記事でも記載しません。

設計の読み解き(Links-Create による解説)

ここからは、公開情報から読み取れる設計上のポイントを Links-Create の視点で解説します。以下は独自分析であり、SCSKセキュリティや Intezer 社の公式見解ではありません。

1. 「自動クローズ」は、AI に最も大きな権限を渡す判断

AI がアラートを「要対応」に回す判断は、間違えても人が確認するので取り返しがつきます。一方、「対処不要」として閉じる判断は、間違えると誰も見ないまま終わります。自動クローズは、AI に任せる判断のなかで最も影響の大きいものだと Links-Create は考えます。

本事例では、その判断の根拠として「一致したコードやメモリ上の挙動といった証跡」が結果に付くと説明されています。閉じた理由を後から人が確認できることは、自動で閉じる仕組みの前提条件です。

2. 「重要度が低いアラートも見る」は、自動化で初めて現実的になる

公式発表は、夜間・休日の滞留や「検知しているが誰も見ていない」領域をなくし、優先度が低いアラートに潜む侵入初期の兆候を取りこぼすリスクの低減につなげる、と説明しています。

人手の SOC では、重要度の低いアラートは後回しや未確認になりがちです。AI に全件を一次分析させ、人は残りを精査する、という分担にすることで、「見ていない領域」を減らすことが狙いだと読めます。ただし、全件を見るようになった結果、見逃しがどれだけ減ったかを示す数値は公表されていません。

3. 判定方式を「確率的な推論」と分けて説明している

公式発表は、判定が大規模言語モデルの確率的な推論ではないことを、特長として明示しています。Links-Create の解釈では、これは**「なぜそう判定したか」を説明できる仕組みかどうか**を、セキュリティ運用の重要な評価軸として示したものです。AI 製品を比較するときは、精度の数字だけでなく、「判定に何が根拠として付くか」「監査で説明できるか」を確認項目に入れると、導入後の説明責任の議論がしやすくなります。

4. 同じ「約 95%」でも、何の割合かは事例ごとに違う

SOC の AI 活用事例では、似た数字が並ぶことがあります。既存の事例と並べると次の通りです(各社の公式発表に基づく整理)。

事例「約 95%」が指すもの前提
本事例(SCSKセキュリティ)一次分析の結果、自動クローズされたアラートの割合自社環境(約 3 万件/週)での検証値。効果保証なし
NTTドコモビジネスの AI SOCAI エージェントとマネージド SOAR によるアラート「対処」の自動化残りは専門家がサポートする前提の説明

数字が同じでも、「閉じた割合」と「対処を自動化した割合」は別物です。社内で事例を引用するときは、何の割合なのかを必ず併記してください。

5. 「平均 2 分」と「1〜2 時間」を割り算しない

従来の 1〜2 時間と平均 2 分を並べると、大きな短縮に見えます。しかし公式発表は、従来の値がどの環境・どのアラート群のものかを示していません。比較条件が分からない 2 つの数字を割り算して「◯分の 1」と書くと、発表にない主張を作ってしまいます。引用は公式の表現のまま、限定を付けて行うのが安全です。

6. 既存のセキュリティ事例との違い

事例AI の役割本事例との違い
NTTドコモビジネスの AI SOCAI エージェントの相関分析で脅威を特定し、SOAR で対処を自動化対処の自動化まで含む設計。本事例は一次分析と自動クローズに焦点
Cloudflare の AI による脆弱性検証稼働中のコードと依存 OSS の脆弱性を AI で検出攻撃される前の「弱点探し」。本事例は検知後のアラート処理

自社に置き換える演習(Links-Create の研修用の提案)

以下の演習と表の例は、Links-Create が研修用に提案するものです。SCSKセキュリティが実施した手順や事実ではありません。 セキュリティ部門に限らず、「AI に一次仕分けをさせて、問題なければ閉じる」業務全般に使えます。

演習 1: 「AI が閉じてよいもの」の条件を書き出す

業務の例(研修用の例)AI が閉じてよい条件必ず人に回す条件
問い合わせの一次仕分けFAQ で回答済み・本人が解決を確認苦情・返金・個人情報に関わる内容
経費精算のチェック規程内の金額・領収書と一致規程外の科目・高額・初めての取引先
セキュリティアラート既知の無害なパターンと根拠つきで一致根拠が付かない・判定が割れる

「閉じてよい条件」より先に、「必ず人に回す条件」を決めるのがコツです。

演習 2: 閉じた理由を残し、抜き取りで見直す

自動で閉じたものは、放っておくと誰も見ません。次の 2 つを運用に組み込みます。

  • 閉じた理由を 1 行で残す: 「何と一致したから閉じたか」を記録する
  • 毎週一定数を人が見直す: 自動で閉じたものから一定数を抜き出し、人の判断と一致したかを確認する

見直しで不一致が見つかったら、「必ず人に回す条件」に追加します。

演習 3: 検証値と自社の値を分けて測る

製品やサービスの発表値は、提供側の環境での値です。導入するときは、次の 3 つを自社の環境で測ります。

指標測り方の例見るポイント
処理時間1 件あたりの所要時間を、導入前後の同じ種類の業務で比較比較の条件をそろえる
自動で閉じた割合全件のうち、AI が閉じた件数高ければ良いとは限らない
見逃し抜き取りの見直しで、閉じてはいけなかった件数自動クローズ率と必ずセットで見る

法人 AI 研修への示唆(Links-Create の視点)

  1. 「AI に閉じさせる判断」を研修の題材にする — AI に何を任せるかの議論は、「何を閉じてよいか」で具体化すると現場と決裁者の認識がそろう
  2. 数字は「何の割合か」まで言えるようにする — 自動化率・削減率・自動クローズ率を区別して読む練習をする
  3. 説明できる判定を選ぶ — 判定の根拠が残る仕組みかどうかを、ツール選定の確認項目に入れる

関連リソース

出典・引用ポリシー

本記事の事実情報は、次の公式発表のみを一次ソースとしています。

設計の読み解き・演習・研修への示唆は Links-Create の独自分析・研修用の提案であり、SCSKセキュリティおよび Intezer 社の公式見解ではなく、同社が実施した事実でもありません。

平均 2 分・約 95%・約 3 万件/週は、公式発表の限定(自社環境での検証値・効果を保証するものではない・実際の効果は環境や監視対象により異なる)を維持して記載しています。顧客の導入効果や業務削減率としては扱っていません。社内提案で引用する際は、前提条件を必ず併記してください。

公式情報の更新があれば、本記事も追従して更新します。

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